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冥途の旅 |
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人は死後、 |
六道のどの世界へ生まれ変わるかについて |
十人の王のうち七人から裁判を受け、決定される。 |
その裁判は、五戒について七日ごとに七回ある。 |
これがいわゆる四拾九日であり、 |
死者は冥途の旅をすることになる。 |
この世界を中陰の世界という。 |
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十人の王 |
死後の日数 |
十 王 |
十三仏(本地) |
・ |
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泰広王 |
不動明王 |
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冥途の旅 |
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初江王 |
釈迦如来 |
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この間の裁判で六道のどの世界へ
生まれ変わるかが決まる |
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宋帝王 |
文殊菩薩 |
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五官王 |
普賢菩薩 |
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閻魔王 |
地蔵菩薩 |
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変成王 |
弥勒菩薩 |
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泰山王 |
薬師如来 |
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百ヶ日 |
平等王 |
観音菩薩 |
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以後は現在の裁判でいう再審請求 |
一周忌 |
都市王 |
勢至菩薩 |
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三周忌 |
五道転輪王 |
阿弥陀如来 |
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七回忌 |
・ |
阿シュク如来 |
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十三回忌 |
・ |
大日如来 |
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三十三回忌 |
・ |
虚空蔵菩薩 |
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五戒 |
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不殺生戒 |
(みだりに生物の命を奪わない) |
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不愉盗戒 |
(盗みをしてはならない) |
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不邪淫戒 |
(みだらな淫行をしてはならない) |
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不妄語戒 |
(嘘をついてはならない) |
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不飲酒戒 |
(酒を呑まない) |
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冥途の旅 |
冥途の旅は、死出の山を歩き続けることから始まる。険しい道を星の光だけを頼りに、ひとりで七日間歩き続ける。 |
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この間は食香といい、香の煙しか食べられない。だから仏壇の線香を絶やしてはならないのである。 |
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第一の法廷 |
七日間歩き続けると(初七日)、最初の裁判の法廷に辿り着く。裁判官は、秦広王(不動明王)である。 |
ここでは、生前の行いの善し悪しについて、審査を受ける。この審査結果で、三途の川の渡る場所が決まることになる。 |
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三途の川 |
第一の法廷を過ぎると、次に冥界をとうとうと流れる大河に辿り着く。これが有名な三途の川である。 |
冥途を旅するものは必ずこの川を渡らなければならない。 |
三途の川の名の由来は、川を渡るために三通りの途があるからである。 |
三途の川は橋(有橋渡)がかかっていて、上流は浅く(山水瀬)、下流ほど深く流れも早い濁流(江深淵)になっている。 |
秦広王の審査結果から、善業者は橋、罪の比較的軽い悪業者は浅いところを、罪が重くなるほど深い濁流を渡らなければならない。 |
極悪なものは、背が立たないばかりでなく、鬼が足を引っ張り、散々苦しめられる。 |
また、渡し舟があり、渡し舟に乗って川を渡ることができる。この渡し賃は、六文である。昔は、一文銭を六枚棺桶に入れたが、 |
現在は、六文銭と書いた紙を入れる。六道輪廻から六文。 |
『地獄の沙汰も金次第』は、ここから生まれたことわざであるらしい。 |
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賽の河原 |
三途の川を渡れない者がいる。それは、幼くして冥途へやってきた子供たちである。 |
親より先に冥途の旅に出て親に深い悲しみを負わせることは大きな罪であるため、三途の川を渡ることができないのである。 |
そんな子供たちが、三途の川のほとりにある賽の河原で小石を積み上げて塔を作っている。 |
子供たちは、生きていた時間が短く、仏様の教えを聴くことも、他人にお布施をすることもできなかったために慚愧の念にさいなまれて、 |
賽の河原に塔を作っている。 |
しかし、塔が出来上がったとたんに冥途の鬼に恐ろしい形相で怒鳴られ、塔を壊されてしまう。それでも子供たちは泣き叫びながらも、 |
何度も繰り返し塔を立て続けるのである。 |
この子供たちを救うのがお地蔵さんであるという。 |
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衣領樹 |
三途の川を渡りきると川原に一本の木が立っている。それが衣領樹である。 |
この木の上に爺さんが、木の下に婆さんがいる。爺さんを懸衣翁、婆さんを奪衣婆という。 |
衣領樹は衣服を枝にかけると、罪の重さによって枝のしなり具合が違ってくる。冥途の旅人の衣服を剥ぎ取るのが奪衣婆の役目で、 |
剥ぎ取った衣服を懸衣翁に渡し、懸衣翁が衣服を枝にかけるのである。 |
この結果が、第二の法廷の証拠になる。 |
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第二の法廷 |
二七日(ふたなのか)14日目、第二の法廷の裁判官は、初江王である。 |
ここは三途の川を渡ったところにあり、主に不殺生戒について裁かれる。無益に生き物の生命を奪うことは、最大の罪悪である。 |
初江王のもとには、秦広王からの資料や、衣領樹のしなり具合の結果などが届いている。又、三途の川も監視しており、 |
渡る際にどれだけ努力したかも審査対象である。 |
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これらのデータから裁判が行われる。 |
第三の法廷 |
三七日21日目、第三の法廷の裁判官は、宋帝王である。 |
ここでは、宋帝王が、ネコとヘビを使って不邪淫戒について裁く。不邪淫の罪を犯したものが男なら、ネコが男性 |
自身に噛み付き、女なら、ヘビが足元に忍び寄り下半身の部分に入り込む。 |
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第四の法廷 |
四七日28日目、第四の法廷の裁判官は、五官王である。 |
ここでは、主に不妄語戒について裁かれる。ここには、生前の言動における悪を一瞬にして計る秤があり、この秤 |
に乗せられ裁判が行われる。 |
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第五の法廷 |
五七日35日目、第五の法廷の裁判官は、閻魔王である。あの有名な閻魔大王である。 |
ここ閻魔王庁には浄玻璃という水晶でできた鏡がある。この鏡に映し出される生前の悪行全てと、閻魔帳に記 |
載された行状により裁かれる。ごまかしの一切効かない裁判である。 |
閻魔大王は十人の王の中心である。なぜなら、閻魔大王が人類最初の死者であり、極楽浄土の第一発 |
見者であるからである。浄土の王になった閻魔大王は浄土ふさわしくない悪人を収容するために地下に牢獄を |
作った。それが地獄である。そこで、浄土へ送るか、地獄へ送るかの審判を行うようになったのである。 |
※現在、四拾九日法要が三ヶ月にまたがる場合に三十五日法要で忌明けとする風習があるが、これは、三 |
十五日で閻魔王の裁きが済んでいるからだという。 |
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鉄丸所 |
第五の法廷から第六の法廷に向かう途中にある。生前悪行の多いものは、大きな石で頭を打たれるなど、苦しめられる。 |
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第六の法廷 |
六七日42日目、第六の法廷の裁判官は、変成王である。 |
ここでは、過去の裁判の結果をもとに裁かれる。 |
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第七の法廷 |
七七日49日目、第七の法廷の裁判官は、泰山王である。 |
ここが最後の裁判であり、六道のどの世界へ生まれ変わるかが決まる。しかし、最終判決を泰山王が言い渡す |
わけではない。どこの世界に通じているかは全くわからない六つの鳥居があり、どの鳥居に進むかを死者自身が |
決めるのである。ただ、自分で選んだつもりでも前世の業により結果は決まっている。これも因果応報である。 |
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冥途の旅の終わり |
六道の鳥居をくぐった瞬間に冥途の旅は終わる。そして生まれ変わり来世が始まるのである。 |
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あなたの来世は、六道のどの世界なのか… |
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