等活地獄 |
地下1000由旬にあり、縦横の広さは1万由旬である。
ここは、常に敵対心を持ち、出会うと互いに鉄のような爪で傷つけ合い、ついには骨だけになる。また、獄卒に出会うと、鉄棒や鉄杖で頭から足先まで打ち砕かれ、また、鋭利な刀でバラバラに肉を切り裂かれる。しかし、涼しい風が吹くと再びよみがえり、また争い、獄卒に責められる。
刑期は1250万年。
屎泥処 |
煮えたぎった糞尿の中に入れられる。
食物はその糞尿しかなく、その味はとても苦い。
糞尿の中には、鋼鉄のように硬いくちばしをもった虫がうようよしていて、糞尿を食べると一斉に集まってきて体に食いつき、皮を破って肉を食い、骨を砕いて髄を吸う。 |
生前、
鹿や鳥を殺した者が
ここに堕ちる。 |
刀輪処 |
周囲には高さ10由旬(1由旬=約7km)の鉄の壁がめぐっている。
中では、猛火が燃え盛っている。この世の火は、この世界の火に比べると雪のようなものである。この火に触れると体は芥子の実のように粉々になってしまう。
また、灼熱に焼けた鉄雨のように降り注ぐ。
さらに、きわめて鋭い刀の林があり、両刃の刀が雨のように降り注ぐ。
このような苦しみがかわるがわる襲ってくる。 |
生前、
貪りの心から生き物を殺した者がここに堕ちる。 |
瓮熱処 |
鉄の瓮(かめ)の中で、豆のようにじっくりと煎られる。 |
生前、
生き物を殺して煮て食べた者がここに落ちる。 |
多苦処 |
ここには数え切れないくらい多くの苦しみがある。
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生前、
人を縄で縛ったり、枝で打ったり、遠い道を走らせたり、崖から突き落としたり、煙で苦しめたり、子供を脅したり、等々いろいろ人を苦しめ、悩ました者が堕ちる。 |
闇冥処 |
ここは真っ暗闇で何も見えない。その中で常に炭火で焼かれる。
また、ものすごい大風が金剛石の山に吹きつけ、風と山に挟まれると体が砂を吹き散らすようにすり砕かれ、研ぎ澄まされた刀で切り裂かれるように熱風で吹かれる。 |
生前、
羊の口と鼻をふさいで窒息させたり、亀を二枚の瓦に挟んで押しつぶして殺した者が堕ちる。 |
不喜処 |
ここは、常に大きな火が燃え盛っている。
熱い炎をはく鳥や、野犬、狐などが鳴く声がとても不気味で恐ろしい。
これらは終始罪人に襲いかかり、食い散らかし、あちこちに骨や肉片が散らばり、硬いくちばしを持った虫が骨の中に入り、骨の髄まで食い尽くしてしまう。
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生前、
法螺貝や太鼓で鳥や獣を脅し、殺した者がここに堕ちる。 |
極苦処 |
ここは、険しい崖の下で、鉄が燃えるほどの火で焼かれる。 |
生前、
勝手気ままに生き物を殺した者がここに堕ちる。 |
衆病 |
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両鉄 |
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悪杖 |
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黒色鼠狼 |
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異々廻転 |
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苦逼 |
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鉢頭摩鬘 |
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陂池 |
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空中受苦 |
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生前、
殺人を犯した者がおちる |
黒縄地獄 |
ここは、等活地獄の下にあり、広さは等活地獄と同じ。 等活地獄で受けるすべての苦しみの十倍の苦しみを受ける。 地獄の鬼は、罪人を焼けた鉄の地面に寝かせ焼けた鉄の鞭で体中を打ち据える。 さらに、焼けた鉄の斧で体についた鞭の跡にそって切り刻む。 あるいは、のこぎりや刀で体中を何百何千に切り刻んであちこちに撒き散らしたり、焼けた鉄の鎖をぶら下げて、そこに罪人を追い込む。すると、凄い風が吹いて罪人の体に焼けた鎖が絡みつき、肉も骨も焼き尽くしてしまう。 また、左右に大きな鉄の山がある。それぞれの山頂に鉄の棒が立っていて二本の棒の間に鉄の鎖が張ってあり、その下には煮えたぎった大釜が置かれている。鉄のおもりを罪人に背負わせて鎖の上を歩かせ、はるか下の大釜の中に落とし、果てしなく煮る。 地獄の鬼は、『心が一番の悪の根源で、この心が罪を犯す。この心が人をとらえて閻魔王の所に送らせる。一人で地獄で苦しみ、焼かれるが、妻子、兄弟など親族、肉親の誰もが救うことはできない。』と叱りつける。
刑期は、一億年。
等喚受苦処 |
罪人を険しい計り知れないほどの高い崖の上にあげ、焼けた鉄の鎖で縛り、鋭い刀がたくさん立っている焼けた地面に突き落とす。さらに、炎を吐く鉄の牙をもった犬に食われ、体がバラバラになりどんなに助けを呼んでも誰も来ない。 |
生前、
間違った思想によって真実でないことを説いたり、全てを投げ出し崖から投身自殺した者が堕ちる。 |
畏熟処 |
ここは、獄卒(地獄の鬼)が、昼夜の別なく罪人を追い回し、杖で打ち据え、焼けた刀や弓矢で切りつけ射る。 |
生前、
物欲から人を殺したり、人を縛って食べ物を奪ったものが堕ちる。 |
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生前、
生き物を殺し、盗みをはたらいた者が堕ちる。 |
衆合地獄 |
ここは黒縄地獄の下にあり、広さは等活地獄、黒縄地獄と同じである。 ここの獄卒は、牛頭(ごず)と馬頭(めず)である。 鉄の山が方々にあり、牛頭・馬頭は武器を持ち罪人をその谷間に追い込んでいく。 罪人が谷間に入ると鉄の山は重なり合い罪人を押しつぶす。 鉄の雨に当たり体を砕かれ、鉄の臼に入れられ鉄の杵でつかれる者もいる。 極悪の獄鬼や獅子・虎・狼などの獣、カラス・鷲などの鳥が罪人に群がり、先を争って食い散らす。鷲は焼けた鉄のくちばしで腸をついばみ、木の上に掛けて食らう。 大きな河があり、その中には鉄鉤がある。その上に罪人は落とされる。 罪人は、流れに漂う者、かすかに頭を出している者、思い石を抱いて沈んでいる者、手を挙げて泣き叫ぶ者、互いに抱き合い泣き叫ぶ者、様々である。
刀葉林と呼ばれる林がある。木の葉は刀のように鋭く尖っている。 木の上には美しい女性がいる。罪人はその美女を求めて鋭い葉に体を切り刻まれながらも必死に登る。しかし、美女は地に降りている。美女は『あなたを慕って降りてきたのになぜ私の側へこないの。なぜ私を抱かないの。』と誘う。罪人は欲情に燃え、再び体を切り刻まれながら木を降りる。すると美女は木の上にいる。罪人はまた木に登る。これを永遠に繰り返す。 獄卒は罪人を責める。『汝が受ける苦しみこそは 汝が行った悪事の報い これこそは自業自得の報いにて 逃れる者は無し』
刑期は、八億年。
悪見処 |
ここは、心身両面から責め続けられる。 罪人が自分の子供も同じ地獄に堕ちている姿を見せられる。 我が子が獄卒に鉄杖や鉄錐で陰部を刺され、鉄鉤で陰部を打たれている姿である。 この姿を見る苦しみはに比べれば、自分が火に焼かれる苦しみは十六分の一であると言う。 さらに、自分は頭を下にされ、焼けてドロドロになった銅を肛門から注ぎ入れられ、体内が焼けただれ口から出てくる。
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生前、
他人の子供を犯した者が堕ちる。 |
多苦悩 |
ここは、関係を持った男の姿を見る。その男を抱きしめると炎を上げて燃え上がり、体の全てが飛び散る。生き返り恐ろしくなって逃げると、断崖から落とされ、炎のくちばしを持つ鳥や、炎を吐く狐などに食い尽くされる。
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生前、
男色(同性愛)に溺れたものが堕ちる。 |
忍苦処 |
ここは、木に逆さに吊るされ、下から火で燃やされる。
苦しくて口をあけると、内臓を燃やされる。
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生前、
人妻を犯した者が堕ちる。 |
大量受苦悩処 |
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割刳処 |
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脈々断処 |
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団処 |
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朱誅朱誅処 |
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何々奚処 |
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涙火出処 |
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一切根滅処 |
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無彼岸受苦処 |
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鉢頭摩処 |
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大鉢頭摩処 |
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火盆処 |
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鉄火末処誅 |
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生前、
生き物を殺したり、盗んだり、強姦、不倫、浮気などをした者が堕ちる。 |
叫喚地獄 |
ここは衆合地獄の下にあり、広さは等活、黒縄、衆合地獄と同じである。 ここの獄卒は、頭は金色、目から火を発し赤色の衣を着ている。手足は長く大きく、風のように走り恐ろしい声を出す。 この獄卒が、罪人の頭を鉄棒で打ち、焼けた鉄の地面を走らせる。 さらに、鉄鍋で炒り、鉄釜で煮る。 あるいは、猛火の部屋に閉じ込めたり、金鋏で口をこじ開け、溶けた銅を流し込み内臓を焼く。 獄卒は、『おまえは愛欲の罠に惑わされ、悪事を繰り返した報いを受けている。なぜ、愛欲に惑わされ、悪事を働いているその時に反省し、懺悔しなかったのだ。今さら後悔してももう遅い。』と責める。
ここの刑期は六十四億年。
火末虫 |
ここは、四百四の病気にかかる。どの病気も即死に至るような病気である。
体中に虫がわき、皮、肉、骨、髄まで食い尽くされては生き返る。 |
生前、
酒を水で薄めて儲けた者が堕ちる。 |
雲火霧 |
ここは、獄卒に高さ四百尺の炎の中に追い込まれる。
全身が溶けてしまうが、引き出されるとまた生き返る。
これを永遠に繰り返される。 |
生前、
人に酒を飲ませて泥酔させ、からかい、弄び、辱めたものが堕ちる。 |
大吼処 |
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普声 |
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髪火流 |
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熱鉄火杵 |
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雨炎火石 |
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殺々 |
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鉄林曠野 |
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普闇火 |
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閻摩羅遮約曠野 |
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剣林 |
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大剣林 |
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芭蕉烟林 |
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有煙火林 |
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分別苦 |
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生前、
酒を呑み、愛欲に溺れ、生き物を殺したり、物を盗んだりした者が堕ちる。 |
大叫喚地獄 |
叫喚地獄の下にある。広さは叫喚地獄と同じ。 ここでは、叫喚地獄と同じ事が行われるが、その苦しみは 前の四つの地獄とそれぞれ十六の小地獄の全ての苦しみの十倍の苦しみがある。 獄卒は、『いつわりは最初の炎、その炎は海原も焼くことができる。ましてや人を焼くことなどは草木を焼くようなもの』と責める。
刑期は五百十二億年。
受鋒苦 |
焼けた鋭い鉄の針で口と舌を縫い付けられ、泣き叫ぶことすらできない。 |
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受無辺苦 |
焼けた鉄の金鋏で舌を抜かれ、目玉をくり抜かれる。抜かれてもすぐに元に戻るため、同じことを繰り返される。
また、焼けた鋭い刀で体を削られる。 |
生前、
嘘をついた報いである。 |
吼々 |
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生前、
叫喚地獄の酒を呑み、愛欲に溺れ、生き物を殺したり、物を盗んだりした者に加え、嘘をついた者が堕ちる。 |
焦熱地獄
(炎熱地獄)
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ここは、文字通り炎の地獄である。ここの炎は、現世に持ち込むと豆粒くらいの炎でも一瞬で全てを焼き尽くしてしまう。ここから前の五つの地獄の炎はここに比べると霜か雪のように見える。 獄卒は、罪人を焼けた鉄の地に倒し、仰向けにし、うつ伏せにする。 また、罪人を頭から肛門まで突き刺し肉団子のようにし、火であぶる。
刑期は、四千九百十六年。
分荼離迦 |
猛火が全てを覆う。焼き尽くした場所には白い蓮華の花が咲き、小川が流れる。
これを見た罪人がわれ先にと駆け寄ると、落とし穴があり、中は猛火に包まれていて、罪人は一瞬にして燃え尽きてしまう。
燃え尽きた罪人はまた生き返り繰り返す。
ようやく蓮華の花に辿り着くと花は猛火と化す。
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生前、
自殺した者、人をそそのかして自殺させた者などが堕ちる。 |
闇火風 |
罪人は暴風にさらされる。体は暴風に巻き上げられ、車輪のように回転する。時に、猛烈な突風が吹くと体は、砂のように砕け飛散する。飛散するとまた生き返り、永遠に繰り返される。 |
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生前、
大叫喚地獄の酒を呑み、愛欲に溺れ、生き物を殺したり、物を盗んだりした者、嘘をついた者に加え、正しくない思想を信じた者が堕ちる。 |
大焦熱地獄
(極熱地獄) |
ここは、内容はほぼ焦熱地獄と同じであるが、前の六つの地獄とその小地獄全てを合わせた苦の十倍の苦しみがある。広さは、前の地獄と同じである。 ここの特徴は、ここに辿り着くまでにある。 死んでから地獄に堕ちるまでの間に大地獄の相を見せられる。 獄卒は、顔には恐ろしい形相を表し、目の炎は燈火の様に燃え、鈎のように曲がった牙は鉾のように鋭く、手足は熱く長い。声は雷のようにとどろき、大きな腹は黒雲のような色をし、体を動かすと全身が激しく盛り上がる。 この獄卒に罪人の喉をつかみ、六百八十万由旬(一由旬=約7km)のかなた、陸地、海、島や城を通り過ぎ、海の外側に出てさらに三十六億由旬をすぎて、徐々に十億由旬降下していく。業風(悪業の結果として生じる地獄の風。)の向うに閻魔大王の姿が見える。 閻魔大王の叱責は激しく厳しい。 獄卒に悪業の綱をかけられ、引かれるままに歩いていくと、遥か遠くに大焦熱地獄の炎が見え、罪人たちの泣き叫ぶ声が聞こえてくる。 この様子に恐れおののくと、獄卒は、『地獄の声を聞いただけでこのように恐れている。地獄で焼かれる時は、乾いた草を焼くようなもの。火が焼くのならいずれ消えるが、悪業の火は決して消えない。』と責める。 大焦熱地獄の炎が崖の下から激しく燃え上がっている。高さ五百由旬、広さは二百由旬に及び、炎の激しさは、罪人の作った悪業の激しさである。 ここにくると、獄卒は罪人を崖下に突き落とす。ここが大焦熱地獄の入り口である。
刑期は、半永久である。
普受一切苦悩 |
炎の刀で全身の皮を剥され、焼けた地面に体を押し付けられたり、焼けて溶けた鉄を体にかけられる。 |
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生前、
酒を呑み、愛欲に溺れ、生き物を殺したり、物を盗んだりした者、嘘をついた者、正しくない思想を信じた者に加え、尼僧と姦淫した者が堕ちる。 |
無間地獄
(阿鼻地獄) |
ここは、地獄の底。いわゆる奈落の底である。 罪人は、『炎だけ、右、左、上、下、全てが炎で隙間がない。地上さえも炎で覆われている。私の周りには、炎があるだけで、一緒いいる連れもなく、友もいない。闇の世界にただ一人孤独である。太陽や、月、星も見る事すらできない。』と言うと、獄卒は、『今さら悔やんでもしょうがない。全ては自分のやったこと。誰かがやらせたわけじゃない。だから、誰も救うことはできない。今の苦しみは、大海からすくった一杯の水のようなもの。これからの苦しみは大海のように限りない。』と責め、阿鼻地獄へ向かうが、阿鼻地獄の手前二万五千由旬で、阿鼻地獄で泣き叫んでいる声を聞く。そこから逆立ちの状態で下へ下へと二千年かかって阿鼻地獄へと落ちていく。 ここは、前の七つの地獄とその小地獄全ての苦しみの千倍の苦しみがあるという。阿鼻地獄の罪人は、大焦熱地獄の罪人を、天にいるようだとうらやましがる。 ここには、城があり、広さが八万由旬。七層の鉄網があり、下に十八の隔壁があり、刀の林が周囲をめぐっている。 四隅には銅の狛犬がいる。その姿は、体長四十由旬、目は雷、牙は剣、歯は刀、舌は鉄のようで、全身から猛火を吹き出し、たとえようのない悪臭がする。 七重の城の中は、七つの鉄旗があり、旗の先から炎が水が湧くようにほとばしり、その流れが城内に満ちている。四つの門のしきいの上には八十の釜があり、煮えたぎった銅があふれ出し、城内に満ちている。一つ一つの隔壁の間には、八万四千匹の毒や炎を吐く大蛇がいて、万雷のような叫び声をあげて吼え大きな鉄の塊を雨のように降らせ、八万四千のくちばしをもった虫が五百億匹いて、くちばしから流れ出た炎が雨のように降っている。この虫が下りてくると地獄の炎はさらに燃え盛り、八万四千由旬をくまなく照らす。八万四千の苦しみの全てが、この中に集まっている。 獄卒は、頭は羅刹、口は夜叉のようで、六十四の目を持ち鉄の塊を噴出し、鈎のように曲がった牙は上に突き出し、長さは四由旬あり、牙の先から炎が噴出している。 ここでは、東西南北四方から猛火が押し寄せ体を蝋燭のように溶かす。また、舌を引っ張り出し、しわがなくなるように伸ばし、百の鉄釘で打ちつける。さらに、熱い鉄鋏で口をこじ開け溶けた銅を流し込む。 もし、人間界にいる者が阿鼻地獄の臭気を嗅いだら全てが消え失せてしまうと言う。阿鼻地獄の苦しみを聞いたなら、みな恐ろしさに耐えられず、聞いただけで死んでしまうことになると言う。
ここの刑期は一中劫 (ほとんど無期限)
鉄野干食処 |
ここは、鉄の瓦が盛夏の雨のように降り、罪人の体が砕け、破れ、干し肉のようになり、それを炎の牙を持つ野干(犬のような獣)が貪り食う。 |
生前、
放火して人を殺したものが堕ちる。 |
黒肚処 |
ここは、飢えと、渇きで自らの体を食う。食い終わればまた生き返る。
また、黒い腹をした蛇に、足先から飲み込まれる。 |
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雨山聚処 |
巨大な鉄の山に押しつぶされ、体が砂粒のようになる。
また、獄卒に、全身の肉を裂かれ、裂け目に熱く溶けた蝋を流し込まれる。さらに、十一の炎に体を焼かれ、四百四の病気にかかり永遠に苦しむ。 |
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閻婆度処 |
ここは、象のような巨鳥が罪人を捕らえて空高く舞い上がり飛び回り、地面に落とす。体は粉々に砕け散る。
道は刃でできていて足を切り裂き、炎の刃を持つ狗が体を食いちぎる。 |
生前、
大勢の人を殺した者が堕ちる。 |
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生前、
酒を呑み、愛欲に溺れ、生き物を殺したり、物を盗んだりした者、嘘をついた者、正しくない思想を信じた者、尼僧と姦淫した者に加え、親を殺したもの、聖職者を殺した者、仏を傷つけた者などが堕ちる。 |